お正月に何かと出費が多く、苦しい家計のやりくりをしている…やまだです。
厳しい。とにかく、家計が厳しい…と言っておられる人は、私だけではないでしょう。
地球上の100人のうち90人はそうなんです。
タイトルの「貧困で…」というのは、私自身へのメッセージでもあるんです。
だから、書いたら、自分で読み直します。それで慰められるか、希望が持てるか、確かめます!
では、本題。
タイ北部山岳地帯で
アルバイト先で、「ドイトンコーヒーキャンペーン」が始まりました。
タイ北部のドイトン地区で作られるコーヒーが定価の20%オフ。
でもでも、私、商品の宣伝してるわけじゃないんです。
かつて、タイ北部山岳地帯は大変な貧困で、麻薬の原料であるけしの花を栽培して、生計を立てざるを得なかったのです。
麻薬の蔓延と貧困を解消しようとして、タイは国家ぐるみで乗り出し、取り組みました。
そのひとつが、ドイトンプロジェクトです。
けしの花の栽培を禁止しても、その地方に住む人は生きていけない。
これに替わる産業が必要なのです。
そこで、コーヒーの木が植えられました。
そして、公正な値段で取引するようにしました。
こうして生まれたのが、ドイトンコーヒーです。
私はこのキャンペーンに特別な思い入れがあります。
このバス、なんだろう???って思われた人も多いと思います。
タイ、バンコクにある、Bangkok evangelistic center(AOG)
というキリスト教会のバスです。
今からちょうど、20年前に撮影したものです。
当時の牧師だった、ウェラチャイ・コウエイ牧師と教会のメンバーは、このバスに食糧や色んな物資を詰め込んで、極貧のタイ山岳地帯に足を運び、福音を語っていました。
多くの人の生活が助けられ、福音によって希望を見出して救われ、教会も建てられていきました。
このバスは、「福音を告げ知らせる麗しい足」だったのです。
日本のみなさん!見て下さい。「トヨタと日野」の車です。
この車がなければ、山まではとてもたどり着けないと、タイの人たちはどれほど感謝していたことでしょう。
私も、ウェラチャイと一緒に働きたくて、行くつもりでした。
ウェラチャイは「てるみ」と言うわたしの名前の発音ができなくて、「ハナミ」と呼ぶことにする、って…
それで、「じゃあ来年の3月に行く」と言ったんですが、
諸般の事情で行けなくなり、私は秋田に転勤となりました。
でも、本当に心残りだったので、1か月分の給料をバンコクの教会に送りました。
それ以降、何の関係もなくなりましたが、このドイトンキャンペーンが始まると、思い出すのです。
広がる貧困
貧困は、今、世界に拡大しています。
20年前よりも、ずっと進んでいます。
「教会では、貧しい者は幸いっていうじゃん?」って揶揄されることもありますが、
貧困は「けしの花を栽培しない限り、生きていけない」ような状況を生み出すものであり、生きる権利を著しく侵害することがあるということが、基本的な考えです。
その上で、貧しさがどう幸いするのか?知って頂きたいです。
今から20年前というのは、ちょうど、グローバル化と言う言葉が出回り始めた頃です。
東と西の壁が崩れ、世界がひとつになる、という潮流です。
インターネットも普及し始め、自由経済が世界中に拡大し、そして、地球上、人の往来が自由になりつつありました。
2001年に「世界がもし100人の村だったら」という本が出版されています。
これは、もともと、無名の中学校の教師が生徒たちにインターネットでメッセージを配信したものがめぐりめぐって多くの人の心を動かし、日本でも翻訳され、出版されたものです。
発信はまちがいなくキリスト教文化圏です。
地球村になりつつあった当時の世界をとらえたものです。
そこには、こうあります。
20人は栄養がじゅうぶんではなく、1人は死にそうなほどです。でも、15人は太りすぎです。
すべての富のうち、6人が59%をもっていて、みんなアメリカ合衆国のひとです。74人が39パーセントを、20人が、たったの2%を分け合っています。
すべてのエネルギーのうち20人が80%を使い、80人が20%を分け合っています。
75人は食べ物のたくわえがあり、雨露をしのぐところがあります。
でも、あとの25人はそうではありません。17人はきれいで安全な水を飲めません。…
この内容でさえ、我々日本人には衝撃的でした。
しかし、この貧困の格差は、グローバリゼイションによってさらに拡大しました。
CNN2016年1月18日 のニュース。
オックスファムは今週スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に向け、米経済誌フォーブスの長者番付やスイスの金融大手クレディ・スイスの資産動向データに基づく2015年版の年次報告書を発表した。それによると、
上位62人と下位半数に当たる36億人の資産は、どちらも計1兆7,600億ドル(約206兆円)だった。
また、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の資産額を上回る水準にあるという。
富裕層と貧困層の所得格差も拡大を続けている。1日あたりの生活費が1.90ドル未満という極貧ライン以下の生活を送る下位20%の所得は1988年から2011年までほとんど動きがなかったのに対し、上位10%の所得は46%も増加した。
グローバル化によって、貧困の格差は確実に進んでいます。
人の往来が自由化されているので、人々は貧困を逃れるために、難民となることを選んで、故郷を後にしました。
ご承知の通り、EUを苦しめている難民問題です。
未だに解決の糸口が見えないばかりか、EUは大きな危機に直面しています。
奪い合うのか、分け合うのか
この後、どうなるか…だれでも予想がつきます。
生き残るために、人は動きます。
次期、米国大統領はナショナリズム「強いアメリカ」を掲げています。
英国がEUを離脱しました。自国の利益を優先するためです。
EUをリードしてきたドイツの首相メルケルさんはキリスト教会の牧師を父に持つ人で、(でも、話したこともないし、毎日何を考えているかなんて、わからないけれど)、キリスト教精神が染み付いて今日に至っているとすると、
このキリスト教精神を土台とするヨーロッパ共同体は、ナショナリズムに呑み込まれて、近々崩壊するだろう、と指摘する人もいます。
確かに、キリスト教社会は衰退しつつあり、これから先、もっと衰えて行くかもしれません。
しかし、真理は変わりません。
「生きたい」というのは、すべての人間に共通する本能です。
しかし、分かれ道があります。
生きるために分け合うのか、奪い合うのか―です。
長い間、貧しさの中で生きてきた人たちは、分け合うことで生き延びてきた人たちがいました。
貧しくても、分けてしまうのです。
そうしたら、自分たちの食べる分がなくなってしまうではないか!?
いえいえ、なくならなかったのです。不思議です。
もっている物を交換したり、豊かな実りがあるところを教えてあげるなどの情報交換をして、少し豊かになって生き延びたのです。
それを見て、マザーテレサは「Poor is beautiful!」と言う言葉をのこしました。
たくさん持っている人は、分けてくれません。
富裕層の1%が99%の資産を持ち続けているという客観的なデータが示しています。
富を求めて、奪い合うのは修羅場です。
しかし、分かち合えば幸いで、神の国が近づいて来るのです。
キリスト教社会は、今後いよいよ衰退していくかもしれません。
けれども、真理は変わらないはずです。
「貧しいものは幸いです、神の国はあなたはがたのものだからです。」ルカの福音書6章20節